白鳥神社本殿

建物データ

指定名称 白鳥神社本殿   延宝8年(1680)、隅肘木側面墨書
三間社流造、桟瓦葺、南向
指定年月日
所在地 多良木町小園白鳥山
修理記録 昭和34年:梁より上部の化粧垂木、小屋組を撤去して現在の桟瓦葺に改修
保存修理工事報告書 『中世等文化遺産保護対策調査事業報告書』(平成8年3月、熊本県教育委員会)

白鳥神社境内

白鳥神社境内

当社は『麻郡神社記』によると、日州霧島神社と同体で草創は不明です。王宮、東光寺八幡、白鳥の山神は当初の鎮守とされ、正和2年(1313)に再興されました。
元亀3年(1572)王宮大宮司田郡宿弥唯綱修造、正保4年(1647)藤原頼寛修復、延宝8年(1680)藤原頼喬造替と記載されています。
現在の本殿は木鼻や拳鼻の意匠から延宝8年の建立とみられますが、元亀3年修造時の木鼻や肘木が若干数転用されています。

白鳥神社本殿正側面

白鳥神社本殿正側面

向拝柱は頂部の大斗を造り出して舟肘木を受け、桁を載せています。桁には延宝8年(1680)造替時の垂木彫が在りませんので、後世のものとみられます。

白鳥神社本殿海老虹梁

白鳥神社本殿海老虹梁

海老虹梁の形状は人吉市の井口八幡神社本殿(元禄12年1699)と同じですが、若葉の彫りはなく、下端の釈杖彫も省略さた簡素な意匠です。延宝8年(1680)造替時のものとみられます。外側は向拝柱に大入としています。

白鳥神社本殿木鼻

白鳥神社本殿木鼻

木鼻頂部の斜線部分から内側へ円弧となっています。山江村の西福寺阿弥陀堂(亨保21年1736)はこの円弧部分が猪目型(ハート型)に変化してしいます。

白鳥神社本殿拳鼻

白鳥神社本殿拳鼻

拳鼻頂部は3つの繰型で外側は下に伸びて内側に円弧が反転していますので、前髪を垂らした髪型のように見えます。

白鳥神社本殿転用材拳鼻

白鳥神社本殿転用材拳鼻

延宝8年(1680)拳鼻と比較すると、渦が始まる円弧部分までは輪郭の構成が同じですが、円弧部分は曲率が小さく外に出ています。また、円弧部分より下はS字で終わりですが、延宝8年のものはS字曲線の前に円弧が入っています。

建物情報

※情報の内容はその後の調査・研究成果によるものです。

平面計画 白鳥神社本殿平面計画
『中世等文化遺産保護対策調査事業報告書』(平成8年3月、熊本県教育委員会)の図面を見ると、正面規模3,395㎜(11.2尺)、中央間1,273㎜(4.2尺)、端間1,061㎜(3.5尺)、側面二間は1,076㎜(3.55尺)、向拝奥行1,182㎜(3.9尺)、現行尺(1尺303.03㎜)で柱間寸法が整理されているようです。ここでは、この柱間寸法の平面計画を考察します。
正面規模は隅柱外々を12尺と仮定して15等分します。1小間0.8尺で14小間(11.2尺)を隅柱真々寸法と決めます。正面中央間6、端間5の寸法比とし、中央間4.2尺、端間3.5尺となります。垂木割は隅柱真々を14等分しますので、一枝寸法は0.8尺となります。
身舎側面の柱間寸法は正面側との関係性が見つけられず、3.50尺あるいは3.60尺であれば平面計画が判りやすいのですが。
向拝は後世に改修が行われていますので身舎のみの考察とします。
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