東光寺八幡宮旧本殿
建物データ
指定名称 | 東光寺八幡宮旧本殿 明応2年(1493)、現本殿明治22年(1889) 桁行三間、梁間二間、一戸楼門、切妻造、桟瓦葺、正面向拝一間、桟瓦葺、東面下屋附属、南向 |
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指定年月日 | 平成27年4月17日 |
所在地 | 多良木町東光寺 |
修理記録 | 慶長年中(1596~1614) 延宝8年(1680) |
保存修理工事報告書 | 未出版 |
東光寺八幡宮旧本殿正面
『麻郡神社記』によると当社は豊前国宇佐八幡宮と同体で草創は不明です。
文応元年(1260)に相良弥五郎頼氏再興、明応2年(1493)修造、慶長年中(1596~1614)、延宝8年(1680)藤原頼喬造替の記載があります。
建物を見ると一番古い部材は明応2年のものとみられ、修造ではなく新築であったように考えられます。斗栱には少なくとも二つの時代のものが混在しているようです。
現本殿は明治22年(1889)に新築され、現在はそれまでの本殿を改修して拝殿として活用されています。旧本殿は曳家されて現在地に移されたとみられますが、現本殿を旧本殿の背面側に新築したのか、発掘調査も含め今後の調査が待たれます。
柱が太く建物の建ちが低い印象で、建立年代の古い特徴がみられます。
東光寺八幡宮旧本殿正側面
床下のスペースが少なく、柱の足元が切られているようにみられます。
東光寺八幡宮旧本殿内部
天井廻縁と格縁は古いものが残されているようです。柱には痕跡が残っていますので、建立当初の内部雑作が分かるかも知れません。渡廊に弊軸が残されています。弊軸が使われているのは他に人吉市の青井阿蘇神社本殿しかありません。
東光寺八幡宮旧本殿斗栱
斗、肘木、木鼻は2つの時代の部材が混在しているようです。
東光寺八幡宮旧本殿拳鼻
同町の青蓮寺阿弥陀堂(嘉吉3年頃1443)の木鼻に似た意匠です。
東光寺八幡宮旧本殿床板下面
当初材とみられる割板製材の床板が残っています。
建物情報
※情報の内容は調査・研究成果によるものです。
平面計画と柱断面寸法 | 『中世等文化遺産保護対策事業調査報告書』(平成8年3月、熊本県教育委員会)の図面を見ると正面規模4,792㎜、中央間1,762㎜、端間1,515㎜、身舎側面各間1,515㎜、向拝奥行1,090㎜となっています。現行尺(1尺303.03㎜)で寸法が整理されているようです。ここでは現行尺換算の柱間寸法で平面計画を考察してみます。 正面中央間と端間は寸法比でほぼ7:6ですので、一枝寸法は同じと考えられます。中央間は5.815尺、端間5.00尺でそれぞれ7と6で割ると、0.8307・・・尺、0.83333・・・尺で中央間は寸法比に換算すると5.83333・・・尺です。 身舎側面二間も5.00尺ですので、身舎柱は15尺を18等分した1小間0.83333・・・尺のグリッド上に建てられています。向拝奥行きは後世の改修で柱間寸法が変わっていますが、平面計画上柱間寸法は5.00尺と推測されます。 一枝寸法は旧本殿規模ですと中央間14枝、端間12枝とみられ、0.41666・・・尺と考えられます。身舎柱断面寸法は15尺/20で0.75尺(1小間9/10)とみられます。 |
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