浜の上地蔵堂厨子

建物データ

指定名称 浜の上地蔵堂厨子   15世紀末~16世紀初期
一間厨子、入母屋造、横板葺、妻入
指定年月日
所在地 あさぎり町浜の上
修理記録
保存修理工事報告書 『中世等文化遺産保護対策事業調査報告書』(平成8年3月、熊本県教育委員会)

浜の上地蔵堂厨子正面

浜の上地蔵堂厨子正面

寺院としての史料がありませんので詳細は不明です。現在の地蔵堂新築時かその後の改修時に、屋根勾配を緩くして仏壇に納められたようです。この厨子は正面が開放の小さな仏堂の中に安置されていて、地元で維持管理されています。

浜の上地蔵堂厨子正側面

浜の上地蔵堂厨子正側面

現在の地蔵堂に合わせて屋根の勾配を緩くしているようです。

浜の上地蔵堂厨子懸魚

浜の上地蔵堂厨子懸魚

この厨子の懸魚は中央より下の広くなっている部分の意匠が簡素で、円弧・円弧として最下部を中括弧形としています。人吉球磨地域の厨子の懸魚は、この部分は時代が降るにつれて複雑になってゆく傾向があります。多良木町の西光寺厨子(明応10年1501)はこの部分が最初円弧で中括弧が連続し、最下部を中括弧形とした意匠ですので、懸魚に関しては西光寺厨子の懸魚より古いとみられます。

浜の上地蔵堂厨子木鼻

浜の上地蔵堂厨子木鼻

木鼻の渦は一回転巻いています。

浜の上地蔵堂厨子拳鼻

永山阿弥陀堂厨子木鼻

輪郭の構成は多良木町の青蓮寺阿弥陀堂(嘉吉3年1443)と同じで、渦もから一回転半前後の巻です。

浜の上地蔵堂厨子実肘木

浜の上地蔵堂厨子実肘木

木鼻と同じ意匠で、上角に2箇所笹繰があります。

建物情報

※情報の内容は調査・研究成果によるものです。

平面計画と柱断面寸法 浜の上地蔵堂厨子平面計画
『八勝寺阿弥陀堂保存修理工事』(平成27年3月、湯前町)62頁の図面では、正面柱外々1.2裏尺、側面1.0裏尺となっていますが、柱真々の間違いでした。
『中世等文化遺産保護対策事業調査報告書』(平成8年3月、熊本県教育委員会)の柱間寸法は正面515㎜、側面427㎜で、鉄尺(1尺302.58㎜)に換算すると、正面1.7尺、裏目では1.2裏尺、側面1.41尺、裏目では1.0裏尺で、柱間寸法比6:5の裏目の平面計画とみられます。柱断面寸法は正面12裏尺/12とした0.1裏尺角としています。
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