鷺巣地蔵堂
建物データ
指定名称 | 鷺巣地蔵堂 17世紀中葉 桁行三間、梁間二間、寄棟造、茅葺、平入、南向 |
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指定年月日 | |
所在地 | あさぎり町鷺巣 |
修理記録 | 床組は後補に改造されている。 建具は後補に取り替えられている。 平成20年に茅葺に波鉄板が被せられた。 |
保存修理工事報告書 | 未出版 |
鷺巣地蔵堂正面
寺院としての記録はないのですが、室町時代の五輪塔が数基残っています。今後の研究が待たれます。現在の地蔵堂は木鼻の意匠から17世紀中葉に建てられたものとみられます。
鷺巣地蔵堂正側面
雨落は建立当初から有ったようですが、葛石の欠失や経年劣化による犬走り叩きの流出により礎石が露出しています。
鷺巣地蔵堂屋根裏
小屋は扠首組と野棟木を方杖で受ける単純な構造ですが、理に適った構造であるため現在まで茅葺のまま保存されているようです。また、建てられている敷地が天災を考慮して選ばれていると推測されます。
鷺巣地蔵堂木鼻
輪郭の構成や渦の巻き方が山江村の高寺院毘沙門堂(承応4年1655)と類似していますので、鷺巣地蔵堂はその前後の建立とみられます。
鷺巣地蔵堂台輪下錫杖彫
中世遺構の錫杖彫は幅が広い中央の端が両脇の幅の狭い部分より長いのですが、この錫杖彫はともに同じ位置までで、中央には端に円弧部分が彫られセパレートになっています。この意匠は水上村の生善院観音堂(寛永2年1625)と同じです。
建物情報
※情報の内容は調査・研究成果によるものです。
平面計画と柱断面寸法 | 『中世等文化遺産保護対策事業調査報告書』(平成8年3月、熊本県教育委員会)の図面を見ると、正面規模は4,030㎜(13.3尺)、中央間1,606㎜(5.3尺)、端間1,212㎜(4尺)、側面二間2,015㎜(6.65尺)となっています。各柱間寸法は現行尺(1尺303.03㎜)で整理されたもののようです。 実測値が判りませんんでここではこれらの柱間寸法を参考に平面計画を考えてみます。正方形平面で大まかな規模を隅柱外々14尺として20等分し1小間0.7尺の19小間13.3尺を柱真々寸法にします。正面柱間寸法は寸法比を中央間4:端間3とし、中央間5.32尺、端間3.99尺、側面は二間等間で6.65尺とします。柱断面寸法は図面を測って換算すると145㎜前後で、13.3尺/28とすると0.475尺となります。 |
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