十島菅原神社

建物データ

指定名称 重要文化財十島菅原神社 2棟
本 殿   天正17年(1589)、棟木墨書
三間社流造、板葺
  附・宮殿 1基 桁行一間、梁間一間、切妻造、板葺
拝 殿   宝暦13年(1763)、棟札
桁行13.6m、梁間3.9m、一重、寄棟造、妻入、茅葺、向拝一間、桟瓦葺、銘札1枚(安永十年)
指定年月日 平成6年7月12日
所在地 相良村柳瀬
修理記録 平成12年(本殿解体修理・構造補強工事、拝殿半解体修理・構造補強工事)
保存修理工事報告書 平成13年3月31日出版

十島菅原神社社殿

十島菅原神社社殿

境内の池には十の島があり、これが「十島」の由来と言われ、この一帯の地域名にもなっています。
社殿はほぼ南面して建てられ、最も大きな島に本殿を造営し、その軸線上に水路を跨いで拝殿を配しています。拝殿の東側には角屋で饌室が取りついています。

十島菅原神社本殿・覆屋

十島菅原神社本殿

十島菅原神社本殿は相良家20代当主の長毎によって天正17年(1589)に建立されました。建設には真言宗願成寺の僧である勢辰と長毎の家臣深水宗方が関わっています。
本殿は現行尺(303.03㎜)の裏目で換算し、裏目で設計されていることが保存修理工事報告書に記載されていますが、実測値が報告されていないのが残念です。
覆屋は本殿建立時には存在していたようですが、現覆屋は保存修理工事時に整備されたものです。

十島菅原神社拝殿

十島菅原神社拝殿

宝暦13年(1763)に建立された現拝殿の前は文禄5年(1596)、その前は天文9年(1540)に拝殿が存在したことがうかがえます。

十島菅原神社饌室

十島菅原神社饌室

保存修理工事報告書によると宝暦13年(1763)拝殿の建立当初は饌室と一連に屋根が葺かれていたと考えられるようです。嘉永4年(1851)以降、饌室は数回建て替えられているようです。

建物情報

※情報の内容は保存修理工事報告書、重要文化財の指定説明とその後の調査・研究成果によるものです。

大工棟梁 拝殿・饌室:久保田文右衛門
平面寸法と柱断面寸法 十島菅原神社平面計画
保存修理工事報告書によると正面の規模は尺の裏目で8.4尺、側面は裏目7.2尺と報告されています。正面中央間は裏目3.6尺、両端裏目2.4尺、側面は庇と身舎二間が2.4尺の等間です。身舎柱断面寸法は正面規模の1/21で裏目0.4尺、庇柱断面寸法は身舎柱柱断面寸法の7/8の裏目0.35尺です。
平面規模はどうのように決めたのか分析してみましょう。正面は柱内々寸法を裏目8尺に決め、身舎柱断面寸法を柱内々寸法の1/20の0.4尺とすると、柱真々寸法は8.4尺となります。中央間は3.6尺、両端間2.4尺でこの柱間の1.2尺差は身舎柱断面寸法の3倍で、正面規模と側面規模の寸法差も同じです。
柱内々寸法と柱真々寸法と異なりますが、平面計画はこ山江村の山田大王神社本殿と同じで正面規模は裏目の尺の完数としています。身舎柱断面寸法を正面規模から割り出し、中央間と端間との差・側面規模との差は身舎柱断面寸法の倍数で、側面は庇と身舎二間を等間としています。奇しくも十島菅原神社の正面規模は山田大王神社本殿側面規模と同じです。
拝殿は6.30尺×3.1尺の畳割りの平面計画とみられますが、この大きさの畳割りが他にも存在するか確認してみます。
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