神瀬住吉神社
建物データ
指定名称 | 神瀬住吉神社本殿・拝殿・覆屋・鳥居 4棟 本 殿 元禄12年(1699)、棟札 三間社流造、板葺 拝 殿 貞享元年(1684)棟札 桁行六間、梁間三間、入母屋造、桟瓦葺、妻入、桟瓦葺、正面一間向拝附属 覆 屋 桁行三間、梁間二間、吹き放し、切妻造、鉄板葺 鳥 居 寛保41年(1744)柱銘 石造明神鳥居 |
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指定年月日 | 平成10年1月28日 |
所在地 | 球磨村神瀬 |
修理記録 | 拝殿:屋根を茅葺から桟瓦葺に、軒廻り・小屋組・間仕切装置変更 覆屋:近年鉄板葺に変更 |
保存修理工事報告書 | 未出版 |
神瀬住吉神社社殿
境内の説明板によると、元は川辺川のほとりに社殿がありましたが、ある年の大洪水で社殿が全部流出してしまったそうです。そのげ、球磨川の高音の瀬(高宇土の瀬)に毎夜機構を放っているものがあり、不思議に思い瀬から拾い上げてみると、先年流出した住吉神社の御神体であったそうです。そこで社殿を造営して奉祀されたそうです。神瀬村の村名はこれから起こったと言われています。
※令和2年度7月豪雨災害の影響により、道路交通規制中です。
神瀬住吉神社本殿正面
本殿は正面三間ですが背面は二間で、向拝柱は正面両端のみです。塗装が施されています。
神瀬住吉神社本殿妻飾
琵琶板写真右側に菊紋唐草のレリーフ、左側は写真からは確認できませんでした。小壁板に格狭間が彫られています。
神瀬住吉神社本殿向拝
垂木が湾曲しているようです。江戸時代までは、人吉球磨地域の社寺建築の垂木は鼻先を反らせて作られています。
神瀬住吉神社本殿屋根
屋根板は井口八幡神社本殿のものより薄く、こけら板(厚さ3㎜)より厚そうですので、木賊葺(厚さ4.5㎜)かもしれません。
神瀬住吉神社本殿向拝蟇股
蟇股内部に2種類の菊丸文が彫られています。
神瀬住吉神社本殿向拝虹梁
簡素な印象を受ける意匠です。柱に取り付く部分の袖切の輪郭は最小限の曲線を組合わせで、弓眉はありません。渦は半円程度、若葉もきれいな曲線です。
神瀬住吉神社本殿向拝木鼻
木鼻は虹梁と違い装飾的な印象を受けます。輪郭のからの渦は2つの円を組合せ若葉をつけ、下部はの口のように奥を猪の目(ハート型)にして反転させいています。
神瀬住吉神社拝殿西面
本殿より建立年代が古い珍しい事例で、人吉球磨地域で一番古い拝殿です。
現在、桟瓦葺ですが軒廻りの改修を見ますと当初は茅葺であったと考えられます、
神瀬住吉神社本殿覆屋
本殿屋根板の風蝕がかなりありますので、本殿より後に建てられたと考えられます。
神瀬住吉神社鳥居
笠木の反りや額の形など人吉球磨地域の特徴が見て取れます。
建物情報
※情報の内容は調査・研究成果によるものです。
大工棟梁 | |
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平面計画と柱断面寸法 | 『中世等文化遺産保護対策事業調査報告書』(平成8年3月、熊本県教育委員会)の本殿実測図を見ると柱間寸法は現行尺で整理されていることが判ります。正面三間8.3尺(2,514㎜)、中央間4.15尺(1,257㎜)、端間2.075尺(628.5㎜)、身舎側面二間7.00尺(2,122㎜)、向拝奥行4.20尺(1,273㎜)で、側面の合計は11.20尺(3,395㎜)となっています。身舎柱断面寸法は図面を測って換算すると200㎜前後、向拝柱145㎜前後でした。 身舎側面7.0尺が柱間設計の起点とすると、身舎側面二間は等間で3.5尺、身舎柱断面寸法は7尺/11≒0.65尺、正面中央間は身舎側面に身舎柱断面寸法を足した4.15尺となります。正面端間は中央間の1/2(2.075尺)、身舎正面三間の規模は身舎側面に身舎柱断面寸法2本分を足した柱間寸法となります。向拝奥行は身舎側面の3/5とし4.20尺です。 拝殿は6.3尺×3.15尺の畳割りとして設計されていると考えられますが、各柱間を再実測して確認する必要があります。 |