高寺院毘沙門堂

建物データ

指定名称 高寺院毘沙門堂   承応4年(1655)、須弥壇墨書
桁行三間、梁間三間、入母屋造、鉄板葺、一重、向拝一間、南向
指定年月日
所在地 山江村大字山田甲
修理記録 平成27年:屋根桟瓦葺から鉄板葺へ改修
保存修理工事報告書 『中世等文化遺産保護対策調査事業報告書』(平成8年3月)

高寺院毘沙門堂正面

高寺院毘沙門堂正面

毘沙門堂は高寺院の奥の院で、急な石段をしばらく登った山頂に建てられています。この仏堂は矢瀬主馬佑が平重盛の菩提を弔うために建立したと伝えられています。
写真では屋根が桟瓦葺ですが雨漏りのため、現在は鉄板葺に改修されています。『中世等文化遺産保護対策調査事業報告書』では小屋梁に扠首の枘穴がないため、当初から瓦葺であったとされていますが、生善院観音堂(寛永2年1625)は建立当初から和小屋の茅葺ですので、当初の屋根形式が何であったかは今後の調査が待たれます。

高寺院毘沙門堂正側面

高寺院毘沙門堂正側面

正方形平面の計画で正面と側面で中央間と端間の柱間寸法が異なっています。

高寺院毘沙門堂正面詳細

高寺院毘沙門堂正面詳細

中央間の扉は肘吊形式の桟唐戸です。軸吊りの桟唐戸より軽くするために厚さを薄くしています。

高寺院毘沙門堂木鼻

高寺院毘沙門堂木鼻

瑞光寺跡阿弥陀堂の木鼻と比べると、円弧部分の下の繰型が2段になっています。

高寺院毘沙門堂縁廻り

高寺院毘沙門堂縁廻り

縁束は足元が腐朽したためかすべて腐朽下部分が切り落とされています。

建物情報

※情報の内容は調査報告書・研究成果によるものです。

大工棟梁 田上 又兵衛
平面計画 高寺院毘沙門堂平面計画
『中世等文化遺産保護対策調査事業報告書』(平成8年3月)の図面を見ると現行尺に換算し、各柱間寸法は一枝寸法(0.44尺)の倍数とて実測値を整理されているようです。正面、側面とも三間で17.6尺40枝ですので、一枝寸法は0.44尺となります。正面中央間18枝、端間11枝、側面中央間14枝、端間13枝の柱間寸法で正方形平面としています。柱断面寸法は0.85尺です。
ここでは17.6尺の平面寸法と一枝寸法を考察してみたいと思います。建物の規模を一枝寸法の倍数で計画しているとは考えにくく、ある程度の規模を決めてから各柱間寸法を決めたと考えます。まず、建物の規模を柱内々で16.5尺とし75等分してグリッドを作ると、1小間0.22尺でこれは一枝寸法の1/2となります。正面、側面ともに三間は80小間で17.6尺、正面中央間36小間7.92尺、端間22小間4.84尺、側面中央間28小間6.16尺、端間26小間5.72尺です。1小間を0.22尺としたのは、柱真を手挟んで垂木を配するためとも考えられます。
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